お留守番の楽しみ方

 

第一話

 

 

 

 

 

 

[それじゃ、お父さんと早乙女君は町内会の旅行に行って来るから。]

[あさってまで留守番を頼んだぞ。]

早雲と玄馬は町内会の旅行のため、数日家を空けると言い残し出かけていった。

留守番は乱馬と、あかね、なびき、かすみの美人三姉妹だ。

両親が不在という事と、

お互い若い肉体を持て余していた事が、この後の出来事に繋がっていく。

 

 

 

[あーあ、出かけて行ったよ、お父さんたち。]

[いいなあ、温泉旅行なんて。]

なびきが置いていかれた悔しさを込めて言った。

 

[まあ仕方がないじゃない、なびき。]

[町内会のお付き合いなら。]

かすみはそう言ってなびきを諭すものの、自分もやはり多少悔しい思いはあった。

 

[あたしたちはあたしたちで楽しみましょう、お姉ちゃん。]

あかねは明るくこの天道家で少しでも楽しく過ごそうと提案した。

 

“何か楽しい出来事を起こしてやるぜ”

乱馬は股間に期待を込め始めた。

若さと精力がはちきれんばかりの乱馬は、

邪魔な看視者がいない、こんなチャンスを黙って見逃せるほど人間は出来ていなかった。

キスすらさせてくれない許婚のあかねと・・・。

いやいや、一番女らしいかすみか、案外巨乳のなびきか、

乱馬の妄想と股間は膨らむばかりだった。

 

夕飯時になった。

いつもと変わらない食卓の光景なのだが、今日は親父二人がいない。

“楽しい温泉旅行に行って”

 

[なんか面白くないわねえ・・・。]

なびきが食事を終え、ボソリとつぶやいた。

 

[そうは言っても、どうする事も出来ないわよ?]

かすみは弱ったという顔をした。

 

そしてここで乱馬が“ここしかない!”というタイミングでこう切り出した。

[あ、いやあ、みんなで温泉地気分でも味わいません?]

 

“”“[温泉地気分???]”“”

あかね、なびき、かすみ、3人とも乱馬の言葉に不思議そうな顔をした。

 

[温泉地での楽しみといったら・・・・。]

“”“宴会”“”しかないじゃないですか?]

[俺たちも親父どもに負けないように、がんばって盛り上がりましょう!]

乱馬はもうやる気満々、股間はパンパン!

 

[で?何をするの?]

かすみがたずねてきた。

 

[いい質問です、かすみさん。]

[オーソドックスですが、野球拳なんてどうでしょう?]

乱馬はニヤニヤしながら言い放った。

 

[野球拳って、乱馬が一人で楽しいだけじゃない?]

何かを察知したあかねがいいタイミングで横槍を入れた。

だが、乱馬はこれも計算づくだった。

 

[なんだよ、あかね?負けるのが恐いのか?]

乱馬はあかねの負けず嫌いな性格を利用してきたのだ。

 

[あたしはいいけど、なんか賭けないと面白くないわねえ?]

なびきが言い出した。

 

[じゃあ、俺となびきで賭けをしよう。]

[最終的になびきが勝ったら、一週間、何でもおまえの言うこと聞いてやるよ。]

損得勘定でしか動かないなびきを乱馬は誘導し、

 

[それ面白いわねえ。]

[じゃあ、あたしが負けたら乱馬君、あたしの事一週間好きにしていいわ。]

なびきは衝撃発言!

 

[ちょっ、ちょっ、なびきお姉ちゃん。]

少し暴走し始めた姉を止めようとするあかねだが、

 

[あんたは黙ってて。]

[これはあたしと乱馬君の真剣勝負なのよ。]

なびきは聞く耳を持っていなかった。

売られたケンカは買うタイプのなびきの性格を巧みに利用した乱馬の勝利である。

 

[やだ・・・よく考えたら、みんなの前で裸になっちゃうのよね?]

冷静なかすみはやはり気持ちが乗らないような事を言い始めたが・・・。

 

[まあまあかすみさん、これでも飲んで気持ちを落ち着けましょう。]

[これを飲むと楽しくなるらしいですよ?]

これも読んでいましたとばかりに乱馬はかすみに、

見た事もない瓶入りの飲み物を差し出した。

 

[ありがとう、乱馬君、優しいのね。]

人をあまり疑う事をしないかすみは素直に差し出された飲み物を口にした。

 

[ところでそれなあに?]

なびきかすみが飲んでいるものに興味津々だ。

 

[ああ、なびきにもあげるよ。]

乱馬はなびきに瓶入りの飲み物を差し出した。

 

[どれどれ・・・。]

[味は飲みやすくて美味しいけど、これは何の効果があるの?]

なびきは口に含んだドリンクに疑惑の目を向けた。

 

[おいおい、なびき、俺がなんか変な物でも入れたと思ってんだろ?]

[安心しろよ、これはシャンプーからもらった中国特産の、]

[体にいい薬草なんかが入ったとてもヘルシーなドリンクなんだよ。]

乱馬は自慢げに言った。

確かに乱馬は間違った事は言っていない。

だが、詳しくも説明していない。

実はこのドリンク、

乱馬が、ムサイ親父二人が旅行に行くのを察知した日に、

シャンプーに適当な理由を並べて頼んで作らせた代物なのだ。

当然、そんな下心の賜物のこのドリンク、ただ体に良い訳ではもちろんない。

 

[あら、なんか体が温かくなってきたわ。]

かすみが自分の体の異変に気づいた。

 

[あ・・・なんかあたしも。]

なびきも異変を感じてきた。

[あかねも飲む?]

そしてなびきはあかねにもドリンクを勧めたが、

[あたしはいいわ。]

あかねは警戒心を解こうとはせず拒否した。

 

“ち、あかねのやつ、なかなか疑り深いぜ”

 

乱馬はあかねの警戒心の高さが気に入らなかった。

許婚のくせに。

そんな思いだった。

 

[ちょっと、ごめんね。]

突然かすみが慌てるようにその場から消えた。

そしてかすみは自分の部屋に戻り・・・。

[やだ、どうしたのかしら?]

[体がとても敏感になってるわ。]

自分の体がとても感じやすく変貌したのを察知した。

試しにかすみは自分の胸を揉んでみた。

[あ・・・。]

かなり敏感に感じるようだ。

そしてそのまま手を自分の一番柔らかい大事な秘部へと這わせ・・・。

“ヌチュ・・・”

そこからはいやらしい液体が染み出し、下着を汚していた。

[嘘・・・。どうしちゃったのかしら?あたし?]

20歳になっても男性経験のないかすみは、

自分自身の体の変調に戸惑いを隠せなかった。

生まれてこの方、オナニーすらした事がないほど性的知識に乏しいかすみ。

だけども体は正直に“何か”を求めだしている。

 

[困ったわ・・・。]

[でもみんな待ってるし・・・。戻らないと。]

かすみはそれでも律儀にみんなのいる場所へと戻った。

 

なびきもほとんど同時に自分の部屋に戻り、やはり体の変化を感じ取っていた。

だがそこは鋭いなびき。

[ははーん。]

[乱馬君、なんかあのドリンクに入れたわね?]

かすみとは違い、乱馬の企みに気づいたのであった。

だがなびきは素知らぬふりでみんなの元へと戻って行った。

 

 

そしてまた4人が茶の間へと揃った。

 

[どうしたの、お姉ちゃんたち?]

ドリンクを飲んでいないあかねは不思議そうに二人を迎えた。

 

[ううん、別に何も。]

[そうそう、ちょっと用事があっただけよ。]

かすみもなびきも平静を装った。

 

みんな揃ったはいいが、なんとなく次の一手が出ない雰囲気に・・・。

そこでなびきが・・・。

[まったくみんなしてお見合いしても楽しくないわね。]

[ちょっと待ってて。]

と言い、台所へと走っていった。

そして数秒後には何かを手に持ち、ちゃぶ台の上に、

“ドン!”

と置いた。

 

[やだこれ、なびき、お父さんたちのお酒じゃない?]

かすみが目を丸くした。

目の前に置かれた代物は、早雲と玄馬が飲むための日本酒の一升瓶だった。

 

[だってさ、このままの雰囲気じゃ楽しくないし、野球拳も始まらないでしょ?]

[ねえ?乱馬君?]

なびきは乱馬へと意味ありげに問いかけウインクした。

 

[あ、ああ、そうだな、なびき。]

“くそ、なびきのやつ何考えてんだ?”

乱馬はなびきの態度に焦りを覚えた。

 

[ダメじゃない、かすみお姉ちゃん意外はみんな未成年者なんだから!]

真面目なあかねがそれはダメだと3人を訴えかけるが、

[あかね〜、固い事言いなさんな。]

[お父さんたちがいない時くらい、あたしもお姉ちゃんも羽伸ばしたいわ。]

[それともなに?あかねは勝つ自信がないの?野球拳?]

なびきの見事なまでの誘導尋問に、

[ま、負けるわけないじゃない!]

あかねは屈服した。

 

乱馬はホッとしていた。

なびきが“あのドリンク”に感づいたのは間違いなく、

野球拳の目論見がぶち壊されると覚悟していたからだ。

 

[ルールはあたしが決めていい?]

なにやらなびきが音頭を取り出した。

 

[い、いいぜ。]

乱馬はうなずき、かすみとあかねも同意した。

なびきは乱馬が同意したのを確認するとこう切り出した。

 

[ルールは天道三姉妹VS乱馬君!]

 

[ええ!?なんだよそれ?3対1じゃねえか、なびき!]

乱馬は猛烈な勢いでなびきに食ってかかった。

 

だがなびきは、

[あ〜ら、乱馬君、そんな事言っていいのかしら?]

“あんな事”したと誰かさんが知ったら、とても悲しむと思うけどいいの?]

ドリンクの件を引き合いに出し、

この条件を飲まなければ、かすみにばらすと脅しをかけてきた。

 

[い、いいぜ、俺も男だ、それ位のハンデくれてやらあ!]

乱馬は開き直った。

 

[負けた方が一枚ずつ脱ぎ、そしてお酒をおちょこ一杯飲むということで。]

[そしてどちらかが脱ぐ物がなくなった時点で終了ね。]

[ま、乱馬君はあまりにも不利だし、勝ち目ないとは思うけど、]

[もしも乱馬君があたしたち3人全部脱がせる事が出来たなら・・・。]

[あたしたち3人好きにしていいわよ。]

なびきは勝ちを確信したのだろう。

だが、万が一にでも負けたら大変な事になる。

[いいわね、二人とも?]

なびきはあかねとかすみに確認を取った。

二人ともあきれた様子で、

[好きにしていいわ、任せるから。]

と他人事のように言った。

 

[いいだろう!]

 

ルールは決まった。

ついに乱馬と天道三姉妹の体をかけた野球拳の始まりだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

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